休日のある日。久しぶりに豊島区の「雑司が谷」へ。
今日は都内でゆっくりお散歩などをして過ごしたい気分の日。
しかし休日はどこに行っても大体混んでいます。
そこで頭に浮かんだのが「雑司が谷」でした。
「雑司が谷」は10年以上前、地下鉄の駅が出来る前に少し住んでいたことがあります。
有名な観光地ということもなくマニアックな場所なので、休日でも混んでいない。
そして鬼子母神神社や夏目漱石などの墓がある雑司が谷霊園、
また、その当時通っていた洋食屋さんなどもあり、休日のお散歩には最適。
住んでいた当初が懐かしい思いと、鬼子母神の寛大な空気を久しぶりに感じに行きたい。
そんな気持ちで雑司が谷へと向かうことにしました。
地下鉄の雑司が谷駅を降りて、鬼子母神神社へと続く参道を歩きます。
参道の颯爽とした空気は今も変わらず、とても清々しい。
住んでいた当時は、参道沿いはほとんどが民家でした。
しかし、1軒気になる新しいお店が。
キアズマ珈琲。
参道の雰囲気に溶け込むように佇んでいます。
古民家風の格子窓の入り口から、微かに店内の様子が伺えます。
のんびりと落ち着いた雰囲気の店内には、何組かのお客さんが静かにコーヒーを楽しんでいます。
ちょっと早いですが、ここで一休みすることにします。
休日のためか、お店に入ると1階はほぼ満席。
細くて段差のある階段を一段一段気をつけながら、2階の席へ。
気を抜くと転げ落ちてしまいそうな緊張感が、なんだかワクワクします。
階段を上がると、白と木目が基調の店内。
席の配置も贅沢で、程よい距離感があります。
少し奥に行くと4畳半くらいのスペース。
壁一面が赤色にペイントされていて、ガラッと変わった雰囲気。
覗き込んだ先に、違った小部屋がある。
予想もしなかった光景と、明るい赤色ペイントに気分が上がります。
そして店内の細部に目を向けると、様々なこだわりが。
鉄のオブジェ。こちらも手作りのこだわり。
そして立てかけられたキャンパス。
考えることを強制されず、アトリエのようなお店の雰囲気を底上げしていて、とても落ち着く。
そしてテーブルにさりげなく置かれている小物たち。
小物も主張することなく、機能的。
その中の一輪の黄色い花に目を惹かれます。
しかし景色にすっとなじんでいて、ぼーっと見つめてしまう。
この絶妙なバランスが、頭を空っぽにさせてくれる感じがします。
そしてお待ちかね。1階からコーヒーとケーキが運ばれてきました。
コーヒー。
コーヒーは、雑味がなく後味すっきり。
そして、カフェ・オ・レ
雑味がないコーヒーとミルクが半々の割合のカフェ・オ・レ。
コーヒーが主張せず、ミルクの甘みでとてもまろやか。
昔、地元の喫茶店で良く飲んでいたカフェ・オ・レをふと思い出しました。
受験勉強をしたり、友達と恋愛話をしたり。。
毎日のように通っていたなぁ。。
さいごに、チーズケーキ
チーズケーキはレモンなどの装飾もなく、クリームチーズ・卵・砂糖・小麦粉のシンプルな構成。
甘すぎず、素材の素朴な味が引き出され、毎日食べても飽きのこない優しい味。
体をおもいやってくれているような丁寧さが伝わってきます。
昔、母と作ったチーズケーキを思い出しました。
同じようにクリームチーズ・卵・砂糖・小麦粉のシンプルな構成。
ケーキの底にはマリーのビスケットを砕いて敷き詰め、
焼く前に、表面にマーマレードジャムを塗る。
キアズマ珈琲のケーキと味は全然違いますが、
母と作ったチーズケーキも、「丁寧に作られた優しいケーキ」だったことを思い出しました。
他のテーブルを見渡すと、置かれているメニューはすべて違うデザイン。
そしてカップも、一人一人違う。
ひとつひとつカップを選び、丁寧にコーヒーを注いでいる様子が浮かんできます。
コーヒーもチーズケーキも、とことん素朴でシンプルなこだわり。
店内も古民家の雰囲気を活かし、体に馴染むように暖かくシンプル。
しかしシンプルな中にも、カップのデザイン・メニュー・インテリアなどに、どこかピリッと心地の良いアクセントがある。
体に馴染むシンプルさと、心地よいアクセント。
この絶妙なリズムの良さが、頭を空っぽにする。
そして暖かく優しくて、懐かしいシチュエーション。
こんな空間だからこそ、昔のことを思い出したのかもしれません。
最後に1階のようすをパチリ。
おいしいコーヒーとチーズケーキ、ごちそうさまでした。
次々と新しいビルが増える東京。
そのビルの質感に合うように、モダンな雰囲気のカフェが増える。
そんな中、キアズマコーヒーは、昔ながらの参道の古民家に店を構え、
参道の魅力を最大限に発揮するような、ものづくりをしている。
ひとつひとつ心を込めて選ばれたものに囲まれているから、すっと体になじむ。
場所にあったものづくりの大切さを、あらためて実感しました。
キアズマ珈琲は私にとっては、「思い出が蘇るカフェ」でした。
人によってきっと感じるものは違うんだろうけど、
心地よい丁寧な空間の中で、何か感じるものがあるかもしれない。
キアズマ珈琲 / 東京 雑司が谷