「コーヒーが濃厚。」
赤ちゃんが寝ている間にコーヒーケーキとカプチーノ。
コーヒーケーキにカプチーノなんてカフェインだらけ。体に悪いかしら?なんて思いつつ、たまにはこんな悪いことをしたくなる。それが東京デリカテッセンならなおさら。
こちらはパークハイアット東京にある「東京デリカテッセン」。
検索してもなかなかヒットしなそうな思い切った名前。でもここならそんな思い切りにも納得。検索なんて必要ないくらいの存在感でパークハイアットの1階に静かに、華やかに佇む。
パークハイアットに来ると、ソフィアコッポラ監督の映画「ロスト・イン・トランスレーション」を思い出す。
主人公シャーロットは夫の仕事に同行し日本へ。異国に来た寂しさと忙しい夫への切ない気持ちを抱える中、年上のハリウッドスターボブに出会う。ボブもまた、異国での慣れない生活の不安や残してきた家族への葛藤を抱えていた。そんな二人が滞在しているのはパークハイアットホテル東京。ホテルで顔を合わせたり東京の街へ繰り出したり。お互いの気持ちを通わせていく二人。友情と愛情の狭間で揺れる姿を見ていると切なくなる。
そして個人的にはピークバーのシーンとカラオケで歌うシーンが印象深い。
この映画を見たためか、妄想好きな私はケーキを食べるこの瞬間が束の間に感じてしまう。
ロスト・イン・トランスレーションで登場するのはレセプションのピークバー。ピークバーも素敵だけど、「気軽に立ち寄りたい。」「ちょっとランチしたい。」「時間がないけど、ちょっとしっとりした気分になりたい。」なんてときには東京デリカテッセン。
明るさを落としたスポット照明の入り口。
大理石の階段をコツコツと丁寧に登ると目の前には煌びやかなショーケース。
足を踏み入れた瞬間からしっとりとした時間がはじまる。
まずはドリンクをオーダー。
「スパークリングワインとカプチーノ、どちらにしよう?」
ほろ酔いになるのもいいなぁ、なんて思いながらも東京デリカテッセンではいつもカプチーノ。
続いてショーケースからフードを選ぶ。
サンドウィッチ、サラダ、デリ、デザート…。どれも魅力的だけど、一番魅力的なのは
スポットライトを浴びて光り輝くケーキたち。
ランチの時間には、前菜、メイン、デザート、ドリンクまでついてくる魅力的なランチセットがある。しかしいつ起きるか分からないこどもがいる上に、ショーケースには輝くケーキ。そしてなんとミニケーキまで。
時間制限あり。甘いものを食べるのにちょっと罪悪感を感じる。そんな私には嬉しいサイズ。
「今日はコーヒーケーキにしよう。」
ミニデザートは常に2,3個並んでいるので気軽に食べられるのがうれしい。
オーダーが終わり席に着いてほっと一息。
少し背の高い椅子。ちょっと足を組んで上を見上げると、頭上にはスポットライトで照らされた幻想空間。
「なんだかいつもと目線が違う。背筋も伸びて気持ち良い。」
そうそう、産後からずっとこどもを追いかけたりお世話したり、落ち込んだり怒ったり。とにかく下を向いてばかり。高い天井と上を向かせてくれる演出になんだか心が落ち着く。
「旅行にも行きたいな。パークハイアットにも泊まりたい。」
心地よい温度、目にやさしい照明、店員さんのお声がけ、隣席との程よい距離感。パークハイアットに泊まっているような手厚いホスピタリティ。そんな居心地の良さに気持ちが開放されて、楽しい妄想が広がる。
大きな窓から外を眺め、大理石の丸テーブルに肘をついてぼーっとする。
コーヒーを待つ間の心地よいラグジュアリーな時間。
「お待たせしました。」
お待ちかねのコーヒーケーキ。
大理石のテーブルに、カタンと上品な音を立てて。
「どこからフォークを刺そうかな?」
金粉でちょこんと描かれた三角と、チョコレートの細いライン。
うっとりしながら小さなお皿をくるくるまわす。
狙いを定めコーヒーチョコレートの表面からフォークを刺し、ひとくち。
「うん。甘い!」
想像以上の刺激的な甘さに思わず口角が上がる。
中はふんわりスポンジとチョコレートの豪華なサンド。ご褒美をもらった気分。
いつもなら大きい一口だけど、今日は甘味の強いミニケーキ。
コーヒーとペースを合わせてちょっとづつ。
ひとさじづつ、ゆっくり食べてもあっという間に食べ終わる。
ミニケーキとカプチーノで束の間の休息。
まだ起きないかな、なんて気にしながら。
この贅沢な時間が続いてほしいな、なんて思いながら。
「日常から離れたい。」
夕暮れ時はピークバー。
シャーロットも雰囲気にのまれるほど幻想的な高層空間へ。
スパークリングで乾杯し、PEAK OF JOYのコースでしっとり。恋人同志でもお友達同士でも。程よい距離感のサービス。カウンターに座っていても会話を邪魔されることはない。タイミング良く次の料理がサーブされる。一皿で運ばれてくるお料理をお皿にシェア。シチュエーションは最高なのにかしこまりすぎない。この気軽さに距離がぐっと縮まる。こんなこと言うはずじゃなかったのに、、、なんてことまで話せてしまう。
そんな幻想的な空間で過ごす贅沢な2時間を、
だんだんと日が沈む黄昏時に、スパークリングとともに。
日光が気持ち良い時間はデリカテッセン。
しっとりした気分を味わうショートステイ。
日の光を感じながらデリカテッセンでカプチーノとミニケーキ。窓際のちょっと高めの椅子に腰掛ける。間接照明が心地よい店内で外を眺めながらコーヒーと甘いケーキ。コーヒーケーキ、抹茶ババロア、オレンジババロア。非日常感にほっと一息。
通りゆく人を眺めながらラグジュアリーな気分で過ごすアフタヌーンティー。
うっとりするミニケーキとともに、束の間の休息を。。
「リンゴジュースとミルク、どちらが良いですか?」
小さなこどもにもドリンクサービス。
プラスチックとは思えない容器にミルク。お昼寝から目覚めたこどももうれしいサプライズにミルクを飲み干しご機嫌。おかわりを要求するので泣く泣くお店を退散。
そんなたった15分間の束の間の休息。
でも少しだけしっとりした時間を過ごせることが、今はしあわせ。
心に素早く効く高級な美容サプリメントを飲んだみたいに、気持ちがパッと明るくなる。
子供の手が離れたらまたピークバーにも行きたいなぁ、なんて甘い夢を見つつ。。
東京デリカテッセン(パークハイアット東京)/ 新宿