KOMITI TOKYO

こちらは代々木上原の「asterisque（アステリスク）」。
私にとって特別な存在のケーキ屋さん。
 
桜満開の休日。
緊急事態宣言で外に出れない日が続き、「せめてケーキでご褒美を。」という思いでやってきました。
 
 
アステリスクではじめて食べたのはシュークリーム。

「シュークリームは安いんだよ。」
 
桜満開の大山公園。代々木上原に引っ越してきて、はじめてのお花見。
自転車の後ろに子供を乗せた友人が、ちょっと照れながらピカピカのシルバーのケーキ箱をくれました。

 
「こんな美味しいシュークリーム、はじめて食べた！」
「ここのお店はいつも行列で並んで買ってきたんだ。ケーキも美味しいんだよ。」
 

パリパリのパイ生地に、程よくバニラビーンズが効いた濃厚なクリーム。
私は昔から甘いもの好き。シュークリームも数々食べてきましたが、その中でも飛び抜けて美味しい！
 
みんなでシュークリームを食べた後は友人と子供が大喧嘩。ゆっくりする間もなく帰ってしまいましたが、それも含めて幸せな思い出。
 
井の頭通りの坂道を、わんぱくな子供を自転車に乗せて。シュークリームが倒れないように気をつけながら、引っ越しのお祝いに。そんな風に買ってきてくれた心遣いが、本当に嬉しかったことを思い出します。
 
それからというもの贈り物をするときに、お祝いのときに、友人が来るときに、手みやげに、大切なイベントの度に。「ここぞ！」というときは必ずアステリスクのケーキを買うようになりました。

自動扉が開くと、ケーキを作っているキッチンが真正面に飛び込んでくる。その横にはきらびやかなショーケース。

 

「今日はどんなケーキがあるかな？」
 
前のめり気味にショーケースを覗く。この日は定番のケーキの他に、春らしい色鮮やかなケーキがたくさん。

アート作品のようにひとつひとつ丁寧に並べられた春色のケーキたち。ピンク色のかわいらしい姿に気分が華やぐ。
 
「こんな桜満開の日は、やっぱり春色のケーキでしょ。」
 
しかし定番のケーキも捨て難い。
アステリスクで有名なのはモンブラン。濃厚な味わいの栗ペーストと生クリーム。底にはアーモンドが香るカリッと繊細なメレンゲ。この組み合わせがたまらない。


迷いに迷った結果、今しか食べられない春のケーキ「クレーム ダンジュ オ フランボワーズ」と「桃桜」に決定。

アステリスクは常温で日持ちする焼き菓子もたくさんあります。マドレーヌ、クッキー、焼きドーナツ、プリン…。贈り物によく購入します。生のケーキの感動には勝てませんが、美味しさのお裾分け。

 
美味しそうな焼き菓子をチョイス。喜んでくれる顔を想像しながら選ぶのが楽しい。パッと目を惹く鮮やかなボックスいっぱいに詰め込んでプレゼント。ついつい自分の食べる分まで買ってしまいます。しかし焼き菓子まで購入すると全て食べてしまうので今日は我慢！

ケーキを箱に入れてもらい、お店を後に。

しあわせな空気が流れる井の頭通りのゆるい坂道。
新緑のケヤキ並木を眺めながら、ケーキ片手にワクワク。
倒れないようにそっと丁寧に気にしながら帰り道を急ぐ。

おうちに到着。
もう食べたくて仕方ない。早速ケーキを食べる準備開始！
 
「春色のケーキにはどんなお皿が似合うかな？」
 
繊細なケーキのアート作品。そのまま食べるのはもったいない！まずは見た目を堪能しよう。
額縁を選ぶようにケーキに似合うお皿とにらめっこ。

春らしいピンク色のケーキ。対照的な水色のお皿でちょっぴりおめかししよう。

「うん！やっぱり水色で正解。」
 
上から横から斜めから。360度どこから見ても違った表情を見せてくれるケーキたち。かわいらしいピンク色の姿を見ているだけで気分が上がってくる！
 

こちらは「クレーム ダンジュ オ フランボワーズ」

サクッとしたメレンゲの下には甘酸っぱいベリーとフワフワのチーズクリームがたっぷり。サクッと食感のメレンゲと一緒に食べるのがたのしい。

そして「桃桜」

「食べるか眺めるか。」
 
アステリスクのケーキを目に前にすると、いつもこの葛藤との戦い。クリームの質感、色使い、ロゴマークの位置。全てが計算し尽くされている。そして食べたらもう見れなくなってしまうと思うと、なかなかフォークを刺す勇気が出ない。。
 
うーん。。可愛すぎて、このまま飾っておきたくなる。
しばしケーキを眺めるが、もう我慢できない！

完璧な作品に思い切ってフォークを入れる。

「ケーキが崩れた！」
 
この瞬間、子供のようにワクワクする。崩れた後は安心してケーキを味わうことができる。

「ごちそうさまでした。」
 
アステリスクのケーキはアート作品を食べてるみたい。
ケーキを鑑賞しながら甘いケーキでアドレナリンを放出。
緊急事態宣言の鬱々気分はすっかり吹き飛び、心まで満たされる。

お店のショーケースを覗いて、ワクワクしながらケーキを選ぶ。ピカピカのシルバーの宝石箱のようなケースに入れられたケーキを受け取る。そしてそっと丁寧に気にしながら帰り道を急ぐ。繊細な素材で作られたアート作品を持ち帰るように。

 
丁寧に持ち帰ったケーキ箱をおそるおそる開封。
 
「倒れてなくてよかった！」
 
アステリスクのケーキは倒れたら台無し！なんせ見た目まで堪能するから。

食べちゃうのがもったいなくなるようなケーキ。
額縁に飾るように好きなお皿にケーキを並べると、お部屋と心がパッと華やぐ。

どの角度からみても完璧なケーキ。

ずっと眺めていたくなるような美しさ。一口食べると繊細な味の驚きに、みんな笑顔になる。
 
 
友人もこんな気持ちでシュークリームをプレゼントしてくれたのかな。。

アステリスクのケーキを食べるたびに、もう会うことのできない友人の姿を思い出す。子供と自転車に乗る姿、喧嘩している姿、帽子を気にしている姿、熱く語る姿、はにかんだ笑顔。。
 
「今この瞬間を大切にしよう。」
 
ケーキを食べるたびに、そんな気持ちになる。
小さなことに気を取られている自分に気合が入る。
 
 
飾られる場所、食べるシチュエーション、すべてを考えて作られたケーキは、目から口からカラダの全感覚でじっくり味わうことができる。そんなケーキだからこそ、ケーキは目の前から消えてしまっても、思い出は心にしっかり刻まれる。
 
そして倒れないようにそっと運んできてくれた心遣い。目移りするほど鮮やかなケーキの中から、シュークリームを選んでくれた気持ちまでじんわり心に残る。

アステリスクのケーキは、思い出まで蘇るケーキ。
美味しさ、美しさ、完璧さに、もらった人の心を動かすケーキ。
そして美意識が強かった友人にとても似合うケーキ。

 
 
大切な日に。
気持ちを伝えたいときに。
今この瞬間を大切にしたいときに。
 
「ここぞ」というときは、いつもアステリスクへ急ぐ。